[2009年4月13日掲載]
OKIネットワーカーズはもともと、1998年に発足した「OKIグループの障害をもつ在宅勤務社員」を総括したベンチャー・チームでした。それを会社として組織化したものがOKIワークウェルです。OKIワークウェルは、沖電気工業株式会社の特例子会社として、2004年(平成16年)4月に創立されました。
特例子会社とは、障害者を専門に雇用する子会社のことです。障害者雇用促進法によって、企業は、総社員の1.8%の障害者法定雇用率を達成する義務があります。大勢の社員を抱えた企業では、相当数の障害者を雇用しなければなりません。そのため、特例子会社の制度が生まれました。特例子会社で障害者を雇用すると、親会社の障害者法定雇用率もアップするのです。関連会社も含めてカウントできることもあって、特例子会社は、このところ急速に増えてきています。
とりわけ、OKIワークウェルの存在は異彩を放っています。「特別な働き方をしないと働けない」重い障害者を採用し、これはできる、これはできないといった能力を明確にしています。作業の分掌によって、いわゆる職業的障害をなくすことを実現させているのです。ノーマライゼーションの考え方からすれば、それに逆らった形であるかもしれません。しかし違いを認めるところから、個々の能力を平等に発揮するチャンスが生まれるのです。その礎として、テレワークを用いた独自の在宅勤務システムが構築されています。
OKIワークウェルの本社事務所と各社員、また社員同士の間はインターネットで結ばれています。ただし、OKIのグループ会社としてのセキュリティを確保するため、OKIから各社員に与えられたIDとパスワードを使って、OKIのイントラネットにつながなくてはなりません。
まず、会社のグループウェアにアクセス。勤務の開始を、全社員に知らせるところから一日の業務が始まります。グループウェアには、在宅勤務者の勤務状況が一覧できる就業管理システムが併用されており、「勤務中」「一時中断」「外出」「勤務外」といった各メンバーの勤務状況を把握することができます。
本社に常駐し、社員管理を行うコーディネーターや、作業をとりまとめる在宅ディレクター指示を受けて、割りふられた作業に入ります。業務連絡はメールのやりとりが基本です。この電子メールはOKIワークウェル独自のものではなく、OKIのメンバーとして与えられる「オキ・ドット・コム」ドメインのアドレスです。電話が必要な時もあります。加えて、2006年からは、OKIワークウェルが開発を進める多地点音声コミュニケーションシステム、“ワークウェルコミュニケータ”を導入しました。
勤務時間は基本的に6時間、メンバーによっては7時間となっています。昼休みの1時間をはさみ、作業50分、休憩10分というリズムで業務を執り行います。終業時、メンバーは再びグループウェアにつないで、その日の勤務時間と作業の進捗状況、また健康状態などを記録します。同じ内容を、フォーマットされた勤務報告書に記入してメールに添付し、コーディネーターと担当係に送付します。これで一日の勤務が終わります。
OKIネットワーカーズは全員が契約社員です。なぜ、正社員ではないのか。その理由は、独特な在宅勤務の形にあります。勤務時間は6時間か7時間だが、その時間割は各々の状況に合わせて、自由に設定して良いことになっています。原則として残業や休日出勤はありません。これらはメンバーが医療や福祉のケアを受けながら、マイペースで気軽に働けるようにするための計らいなのです。
OKIワークウェルでは2009年4月現在、全49名の社員のうち、肢体障害者32名と健常者1名が在宅勤務を行っています。