職場がおうちへやってきた

職場がおうちへやってきた プロローグ - 社長メッセージ

「OKIネットワーカーズ物語」連載にあたって[2009年4月13日掲載]

株式会社 沖ワークウェル
取締役社長 木村 良二

私は1996年4月にOKIの新設した“社会貢献推進室”の室長として配属されました。私を含め2名の職場で、OKIらしい社会貢献活動を推進していくというのが使命です。

当時の社会貢献活動のバイブル「企業の社会貢献ハンドブック」(1994年 社団法人経済団体連合会)では「企業の社会貢献とは自社の事業以外の分野が対象」ということでありました。先進他社の社会貢献部門の活動を調べてみても、一部の会社を除いては事業以外の活動が主流で、「衣の下に鎧(よろい)」というような直接的に事業活動につながることは敬遠されていました。事業とは関係のない活動のため、活動資金がなくなると簡単に梯子(はしご)を外すことが問題になり、関係者から「景気に左右される気まぐれな社会貢献活動だ」と非難も浴びていました。

ひねくれものの私は「衣の下に鎧」を着た社会貢献活動をも選択しました。重度障害者の在宅勤務システムなどを実施しているところはなく、成功すればOKIらしい社会貢献になります。障害者雇用は、障害者法定雇用率達成のためという鎧もかぶっていて、やり始めたらストップはできない社会貢献活動です。

このようなことを企画したのは、二人の女性に出会ったことからです。一人は社会福祉法人プロップステーション理事長のナミねぇ(竹中ナミ氏)で、WEB上でお会いしました。氏は「チャレンジドを納税者に」との考えから、在宅勤務ができるようにと障害者へのIT教育を行っていました。リアルな出会いでは社会福祉法人東京コロニーの堀込真理子氏です。堀込氏は、2年間で障害者への在宅勤務のための情報処理研修を行い、情報処理基本技術者や初級シスアドなどの国家資格を取得するようなIT技術者を育てていましたが、在宅勤務として雇用してくれる会社がないという問題をかかえていました。その堀込氏に紹介された卒業生が現社員のAです。交通事故により首の上しか動かせず、パソコンは菜箸(さいばし)で操るのです。これが1997年からのOKIネットワーカーズ物語の始まりです。

この物語は当社の発展をたどるということばかりでなく、OKIネットワーカーズのメンバーにスポットライトを当て、どのようにして障害の受容やITの学習や就職への思いを醸成してきたか、どんな気持ちで仕事をし、人生を楽しんでいるかを、特に移動困難な障害のある若い方にお伝えし、これからの生き方の道標(みちしるべ)になれば良いと思っています。雇用する側には、あるに越したことはないが、お金がなくとも事務所にバリアフリーな環境がなくとも、知恵と情熱があれば、いろいろな方法で障害者雇用が展開できることを知って欲しい。また、教育や支援に携わっている方々には、どんなに重度の肢体障害があってもパソコンさえ操ることができれば、普通の職場のように働ける可能性があるということを実感して欲しい。当社の在宅社員は「普通の職場との違いは、アフター5のお付き合いができないことだけ」と言い切っています。

OKIネットワーカーズは、33名の優秀なWEB技術者と支援スタッフをかかえる中堅WEB制作会社となり、障害者へのWEB制作教育、在宅就労システムのコンサルやツールの販売ができるまでに成長しました。この成長は、周りの励ましやIT環境の進歩に後押しされ、優秀な障害のある在宅勤務者、有能な在宅勤務コーディネーター、そして優しく理解のあるクライアント(お客様)の3拍子揃ってこそ成し得たことです。感謝、感謝。

OKIネットワーカーズ発足10年、OKIワークウェル設立5年目の記念すべき年に、当社のモットー「頑張るな、諦めるな」の精神で、これからも一歩一歩前進していくことを誓います。

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