経済ウィークリーコラム「にっぽん診断」

若者の提言を聞く

高校球児のあこがれといえば甲子園。今は野球に限らず、甲子園は高校生が競いあい頂上を目指す全国大会の代名詞となっています。

数年前まで全国の肢体不自由特別支援学校高等部の生徒たちには、甲子園といえるような大会はありませんでした。全国の生徒たちが熱い思いで取り組める、そんな活動を作りたいという先生たちの発案で、オンラインを活用して開催する「ミラコン~未来を見通すコンテスト~プレゼンカップ全国大会」が誕生しました。今年で5回目となります。

ミラコンは、特別支援学校生が社会にかかわる中で抱いてきた「未来への提言」をプレゼンテーションする大会です。これからの時代、生徒たちには自分の意見を持ち、表現力を身につけ、社会に訴えかけ、共感を得て社会を変化させていける人になってほしいとの思いが込められています。

今年は全国39校から98作品の応募がありました。全国7つのブロックで行われた審査を勝ち抜いた作品がブロック代表として全国大会に進みます。ファイナルステージでは生徒7名自身がオンラインで提言を行い、最優秀賞には文部科学大臣賞が授与されます。

今年の提言ではスポーツに着目したものが多くありました、人と人とをつなぐスポーツの力を活かし、障害のある人もない人も共に楽しむことで地域の活性化を実現する内容が印象的でした。また、将来の自立や社会参加に向けて、不便さを解消するモノ・コトの提案だけでなく、貧困問題の解消に向けた学習の重要性を訴えるグローバルな視点も新鮮でした。文部科学大臣賞に輝いたのは九州・沖縄ブロック代表の「いろいろな個性のある人たちが挑戦できる社会を目指して」でした。さまざまな人たちと切磋琢磨できる環境を自ら求め、奄美大島から鹿児島市内の養護学校へ進学した経験に基づく提言を、声優をめざす生徒がコミカルにプレゼンテーションしていました。

当社は第1回目より本大会のシステム運用等を支援しています。私は審査員を務めていますが、回を重ねるごとに提言の視点や視野が広がっているように感じます。予測不能な時代が進むなか、生徒たちの未来を見通す提言を聞くのが、益々楽しみになります。



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