経済ウィークリーコラム「にっぽん診断」

職業技能を競う

最近、スポーツの世界でパラアスリートの活躍を目にする機会が増えています。2021年に東京で開催された「パラリンピック」により、多くの人たちが競技の面白さを知るようになりました。また、聴覚障がいのある人たちのスポーツの国際大会「2025東京デフリンピック競技大会」の開催も決まっており、障がいのある人のスポーツが身近になってきています。

職業の世界では「アビリンピック」、正式名称「障害者技能競技大会」があります。アビリンピックは、障がいのある人たちが日頃培った技能をお互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障がいのある人に対する理解と認識を深めてもらい、その雇用を促進することを目的としています。地方自治体の大会で入賞した選手が全国大会に進み、そこで優秀な成績を収めた選手が国際アビリンピックに出場します。

当社にもアビリンピックに挑戦している社員がいます。今年7月、アビリンピック埼玉大会のパソコンデータ入力の競技に出場しました。2年連続です。彼らは数年前まで軽作業の業務を行っており、パソコンを使う仕事はしていませんでした。情報通信技術の訓練を受けた後、毎日15分間のタイピング練習を続け、データ入力を行う仕事ができるようになりました。彼らの素晴らしい成長を止めないために何か目標が必要だと考え、アビリンピックに挑むことにしました。

昨年は初参加で雰囲気に慣れることが目的でしたが、この1年間、日頃の業務において技能を高め、今年は入賞を狙う気持ちで大会に臨みました。パソコンのデータ入力は正確性や速さ、根気強さなどが問われ、二人は集中して競技に取り組みました。残念ながら入賞を逃し、全国大会出場の夢はかないませんでしたが、昨年よりも手ごたえを感じた様子でした。

目標をもって日々の業務に取り組み、練習を重ねれば必ず技能は高まります。過去の自分よりも職業技能が向上したことを実感することが大切で、そのような機会であるアビリンピックを多くの人たちが注目し、応援してほしいと思っています。



Pickup Contents

      お問い合わせ

      お問い合わせ