経済ウィークリーコラム「にっぽん診断」

リモートで社会見学

毎年10月に私たちが心待ちにしているイベントがあります。それは「合同遠隔社会見学」です。当社は特別支援学校と連携して、リモートで社会見学を行う機会を作っています。

社会見学は、知識を身につけるためにさまざまな場所に出かけて、社会の仕組みを体験し、学習することが目的です。「百聞は一見に如かず」といいますが、「実際に見に行こう!」と思っても、遠くに出かけることが難しい生徒もいます。

そこで、学校に居ながら情報通信技術(ICT)を使ったリモートの社会見学を企画しています。生徒のキラキラした目と笑顔に後押しされ、今年で8回目を迎えます。

障がいのある社員全員のリモートワークを実現している当社が、特別支援学校向けに実施する遠隔職場実習から派生しました。外出に制限のある生徒は、会社訪問を前提とする職場実習を、なかなか体験できません。働く人に会い、その仕事を知る機会も限られています。

国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の中に、「質の高い教育をみんなに」があります。職業観を育む機会が少しでも増えればと考え、キャリア教育を支援する活動として遠隔職場実習に加えて合同遠隔社会見学にも取り組んでいます。

初めての合同遠隔社会見学は、2015年、香川県の小豆島のしょうゆ蔵から中継しました。その後、見学地やテーマを拡大。「サケの遡上(北海道八雲町)」「国立天文台からの宇宙旅行(東京都)」「ユネスコ世界ジオパーク(島根県隠岐の島町)」「キトラ古墳、石舞台古墳(奈良県明日香村)」、「三内丸山遺跡(青森県)」をリモート見学しました。

昨年は、全国21校の230名の生徒が集まり、合同授業の形式で行いました。最近は見学地近くの特別支援学校がホスト校となり、生徒が自慢の故郷を紹介するのも楽しみの一つです。今年の見学先は山口県周南市の伝統ある動物園と、匠の技を誇る企業です。

教育現場では、新型コロナウイルス禍でも生徒の学びを止めない取組があり、リモートの活用も進んでいます。当社の活動はささやかなものですが、少しでも生徒の学びに役立てばと思っています。

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