経済ウィークリーコラム「にっぽん診断」

AIとの対話力磨こう

仕事をする上でコミュニケーション能力を高めていくことは大切です。能力の高い人は、相手の意見を尊重しながら、的確に自分の考えを伝え、自分に必要な情報を得ています。また相手との信頼関係を築き、仕事を円滑に進めています。

なかでも、相手との意見交換に重点を置いた対話力が重要になってきました。対話では相手の話を引き出し、深く掘り下げることが求められますが、最近は対話の相手が人間とは限らなくなっています。それは生成人工知能(AI)の活用が身近になってきたからです。

生成AIは膨大なデータを学習し、テキストや音声、画像、プログラムコード(コンピューターに対し命令を与えるデータ)など、さまざまなコンテンツを生成する人工知能技術です。利用者がコンピューターのプロンプト(AIへの指示)に要求や質問を入力し、対話をすることでAIが適切な回答や結果を素早く生成します。文章作成や翻訳、データ分析、カスタマーサポート、デザイン支援、アイデア創出などの分野で活用されていますが、AIとの対話のプロンプトが具体的でないと、期待通りのものが得られません。対話力が問われています。

当社でも生成AIを活用しています。特にシステム開発では生産性向上に役立っていると聞いています。プログラミング担当者には上肢に不自由のある社員がいて、コード作成を生成AIにより効率化し、キーボード入力の時間を短縮しています。ただし、生成AIは間違うことがあるため、チェックは必須です。

生成AIを積極的に活用するなかで、適した使い方や対話のノウハウもたまってきました。小難しいことを言ってきた場合は「小学生でも分かるように」とプロンプトに入力すれば、例を示して理解しやすく説明してくれるそうです。また、期待するような内容が得られなかった際は、生成AIの回答を参考に再質問するのも有効です。

対話力は経験を積むことで養われます。生成AIは大変便利で役に立つものですので、有効活用に必要な対話力を磨いていきたいと思います。また、これが人と人とのコミュニケーションのヒントにもなるかもしれません。



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