[2009年4月13日掲載]
ワークウェルコミュニケータを利用すれば、いつでも自由に同僚を集めてチーム・ミーティングができる。これにより業務のスピードが上がり、品質の向上も期待できる。ワークウェルコミュニケータは常時接続されているため、誰かが使っていると、ワイワイ、ガヤガヤといった雑音が生じる。職場で仕事をしているような臨場感が、在宅勤務者が陥りがちになる孤独感を解消する。
これに加え、本社事務所の一角にライブカメラを設置。3秒間ごとに静止画が中継されている。コーディネーターの在席が確認でき、打ち合わせに用いれば相手の顔が分かるなど、ワークウェルコミュニケータを大きくフォローするものとなる。いつでも事務所が見えることによって、会社との一体感も醸成される。
在宅勤務者たちは、作業を開始すると同時に共用ルームに入ることになっている。ワークウェルコミュニケータでの連絡の必要が生じたところで、対象となる同僚に発信者として声をかける。
「ネットワーカーズのEですが、Cさん、それからFさん、いらっしゃいましたら、お返事をお願いします」
「はい、Cです」
「Fです」
「A社の件で、確認したい点がいくつかありますので、会議室2番へお願いできますか」
E、C、Fは個別会議室2へ移動し、打ち合わせを行った。
在宅勤務者は移動が困難で、クライアント(顧客)との打ち合わせには、なかなか参加することができない。通常は、コーディネーターがクライアントとの打ち合わせ内容をメールや電話で在宅勤務者に連絡するが、ワークウェルコミュニケータを用いれば、在宅勤務者でも自宅から直接、クライアントとの打ち合わせに参加できる。
OKI健康推進室の3名が打ち合わせに来た。「メタボリック症候群と認定された方への改善指導を、ホームページの支援で行いたい」との依頼である。
このような新規でちょっと大きめな仕事は、セールスエンジニア的役割のコーディネーターが打ち合わせの中心となる。事務所の本当の会議室に入り、コーディネーターは自分のパソコンで、この案件を担当する在宅勤務者の3名を会議室3へ誘導し、打ち合わせを始める。
コーディネーターは在宅勤務者に、グループウェアで会議中の映像を見ることを指示し、お客様の3名を紹介する。お客様には、担当の在宅勤務者を写真や似顔絵などで紹介。在宅勤務者はお客様の要望を聞き、コーディネーターに指示をもらい、作業の内容を把握する。
OKIワークウェルでは、移動の困難な重度障害者が自宅でWebの勉強ができる「遠隔Web講習」を実施している。講習を補完するために、定期的にスクーリングも行っている。受講者や講師が、居住地や体調、あるいは天候の関係でスクーリングの場所に来られない場合でも、スクーリングに参加することができる。
これを応用して、OKIワークウェルでは2008年下期より、特別支援学校の遠隔授業にワークウェルコミュニケータを利用する実験を試みている。対象は訪問学級の生徒。訪問学級とは、通学が難しいために担任が自宅を訪問して授業を行うシステムである。訪問学級では、生徒と先生が接する時間が限られてしまうため、生徒宅と学校にワークウェルコミュニケータを設置して、自宅にいる生徒が学校にいる先生と会話ができるようにした。この結果、生徒らに有効なコミュニティ・スペースを提供できた。
ワークウェルコミュニケータが企業のみならず、学校教育の場においても、重度障害者の社会参加に、大きく貢献する可能性を示すこととなった。