[2009年10月15日掲載]
“チャレンジドとともにe社会の創造”
OKIワークウェルでは、これを企業理念としている。「障害をマイナスとのみ捉えるのでなく、障害があるがゆえに体験する様々な事象を自分自身のため、あるいは社会のためポジティブに活かしていこう」というポリシーである。
これを実践するため、障害者としての経験や特性を活かした“使いやすいITサービス”の開発、提供に力を入れてきた。アクセシビリティを充実させたウェブコンテンツの制作などがそれである。さらに、障害者在宅雇用のトップリーダーならではの使命として、いくつかの新事業の展開を推し進めている。
その事業の一つは、障害者の在宅雇用制度を導入する企業に対するコンサルティング。10年を超える障害者在宅雇用によって蓄積された、そのノウハウを提供するものである。現在のところ、以下のような内容でコンサルティングを行っている。(OKIワークウェルのウェブサイトより抜粋)
コンサルティング契約していただいたのち特例子会社を設立し、OKIワークウェルの在宅雇用論を支えに事業の展開を図っている企業様もある。その他、在宅雇用の導入を検討する企業の問い合わせ、また来社見学は年間数十件にのぼる。
もう一つの新事業は教育。重度障害者に対する在宅勤務訓練である。在宅就労を目指す重度障害者にeラーニングでの実習を提供するもので、自治体などからの委託、また先述のコンサルティング事業の一環としての実施となっている。
そのうちの“ウェブ制作実践講座”は、ホームページ制作経験のある者を対象にした3ヶ月間のトレーニングである。電話や電子メールのマナー、情報セキュリティといった在宅勤務の基礎も含め、課題制作を通してウェブ・アクセシビリティや画像処理技術などをコーチする。コーディネーターのほか、OKIネットワーカーズもその指導に当たる。
2005年度の“東京都eラーニングモデル事業”を皮切りに、2008年度までに東京都、宮崎県などの委託による14の講座を順次開講してきた。これらの在宅勤務訓練の受講者のうち、6名がOKIワークウェルへ就職し、在宅就労を実現させている。
この在宅訓練を応用し、特別支援学校に通う生徒のための在宅職場実習も受け入れている。実習課題は生徒の興味によって決まるが、もちろんOKIワークウェルのIT業務がモデルとなる。これまでに都内8学校、11名の実績がある。
またOKIワークウェルでは、社員のボランティア活動を奨励している。これも企業理念のもとに進める事業展開の一つといえよう。社員のボランティア活動をOKIの社会貢献と捉え、ボランティア活動のための休暇を有給で与えるなどの支援も行っている。実際に、OKIネットワーカーズの何人かが、それぞれ地元でのボランティア活動に取り組んでいる。
宮崎県のI氏は、県内の中学校と高等学校で講演を続けている。自らの体験をもとに“ゼロからの挑戦”と題したメッセージを、子供たちに訴えかける。また、自身が車いすバスケットボールのアスリートであることから、障害者スポーツへの理解を求めるアトラクションも用意している。
東京に住むE氏は、都内の小・中学校と高等学校などでボランティア講座の講師として活動している。車いすで生活する立場での体験談を交えた講演のほか、車いす体験試乗の指導も行う。講演では、誰もが住みよい社会づくりを提言し、「いざという時に手助けのできる“勇気とやさしさ”がボランティアの心。その心こそが大切である」と締めくくる。これまでにEが訪れた学校は20校を超える。関わったボランティア講座は50数回にもおよんでいる。
また、OKI社会貢献推進室が協力するボランティア活動へも、OKIネットワーカーズからサポーターが飛ぶ。埼玉県蕨市の蕨商工会議所が主催する、パソコン初心者向けの“年賀状作成講座”、“パソコンなんでも相談会”が、その一例である。
このような、社員のボランティア活動を支援する企業としても、OKIワークウェルはOKIと共に高い評価を得ている。2005年には、“財団法人さわやか福祉財団勤労者マルチライフ支援事業ワンモアライフ勤労者ボランティア賞”で“ナイスサポート賞”を受賞。これは“従業員のボランティア活動を支援すると共に、活動しやすい環境づくり、地域社会とのコミュニケーションを形成している企業・事業所を顕彰する”と銘打たれた賞である。
そして、創立5周年の節目を迎えた2009年4月、OKIワークウェル最大規模の新事業が始められた。ワークウェルコミュニケータの外販。総力を挙げて開発に取り組んで来たワークウェルコミュニケータが、いよいよ社会に提供される運びとなったのである。
木村は、OKIワークウェルのこれまでの成長を振り返る時、障害者法定雇用率1.8%の達成を“ホップ”、事業の種まきを“ステップ”と呼んだ。そして今、“ジャンプ”の時がやって来ている。さまざまな新事業の展開、ことにワークウェルコミュニケータの商品化と事業化は、OKIワークウェルにさらなる飛躍をもたらすものとなるだろう。
今後のOKIワークウェルの展望について、木村は以下のような目標を掲げる。
「社会に役立つ製品やサービスを、OKIの協力を得ながらチャレンジドと共に開発し、ベンチャー的パフォーマンスで、収益力のある会社を目指していきたいと思っています。障害者と健常者が共に活躍できる、そんな社会環境の整備にも協力していきます」
OKIワークウェルで活躍するOKIネットワーカーズのメンバーを物語でご紹介します。