6月26日、長野県佐久市にて「重度障害者在宅雇用セミナー in 佐久」をOKIワークウェルの主催で行いました。
津田社長(写真右)と土屋竜一の挨拶の様子
このセミナーは、OKIワークウェルの在宅勤務社員の土屋竜一が執筆した本『障害者が思いっきり仕事できる 日本でいちばん働きやすい会社 ~OKIネットワーカーズ物語~』の出版を記念して開催されたものです。
セミナー当日までに50名以上からの申し込みがあり、当日参加の方も含めると70名が来場されました。
社長の津田貴の挨拶でセミナーが始まり、その後土屋が話をしました。
土屋は気管切開をしているため声が出ませんが、この日はスピーキングバルブを使って発声し、これまでの自身の障害との向き合い方や、セミナー開催にあたっての思いを語りました。
土屋の話の後に、OKIワークウェルの前社長で現在統括コーディネーターを務める木村良二より基調講演がありました。
木村統括コーディネーターの講演の様子
木村は10年以上前から、重度の障害者を在宅で雇用することに取り組んできました。初めはOKIの社会貢献活動を目的の1つとしていましたが、やがて特例子会社のOKIワークウェルを設立し、現在では35名の重度障害者が在宅で勤務しています。これは他社に例を見ないものですが、体調を第一に考えた管理、離れたところにいても同時に複数の人と話ができるツールの開発など、様々な工夫により成り立っています。そうした工夫の数々を、実例を掲げながら説明しました。
また、木村は「障害者という総称で職業的な能力を判断しないで欲しい」と話し、重度の障害があっても能力を発揮して仕事ができる職場は作れることを訴え、「職場がおうちへやってきた」と題された講演を締めくくりました。
その後、今回のセミナーを共催しているNPO法人SOHO未来塾の理事長の青木敏氏が、長野県の在宅雇用の取り組みについて講演しました。
青木敏理事長の講演の様子
SOHO未来塾は障害者就労を支援し、長野県全域を活動エリアにしている団体です。ライブドアやカカクコムなど、IT企業の業務を同塾の会員である障害者が在宅勤務で行っています。在宅勤務であっても健常者と同じレベルで業務の生産性が求められることや、コミュニケーション能力が必須のものであることが紹介されました。
講演後、社会福祉法人東京コロニーの堀込真理子氏の司会で、OKIワークウェルの在宅勤務コーディネーターの竹田純子、SOHO未来塾の青木理事長、OKIワークウェルの在宅勤務社員の田中真一、SOHO未来塾の卒業生で現在はカカクコムの在宅勤務社員の伊澤康一氏がパネルディスカッションを行いました。
パネルディスカッションの様子
参加者それぞれの立場から、障害者にとっての在宅勤務についての話をしました。
竹田からは、今までの仕事を振り返るとともに「今後は社員の精神的な面でのフォローもしっかりしたい」と話があり、青木氏は「通勤ができるのなら、出社しての就労が望ましい。それができない時に、在宅勤務という選択肢が出てくる」と、通勤して見えるもの、わかることがたくさんあると強調しました。
在宅勤務をしている田中と伊澤氏は、障害を抱えてから働くまでの経緯や仕事の内容など、障害者が在宅で勤務することの実態を話しました。ユーモラスな話もあり、会場は笑いに包まれることがあって和やかな雰囲気で進行しました。
セミナーは3時間という長丁場でしたが、参加者の方々は熱心に話を聞かれ、メモを取る姿も多く、障害者の在宅勤務を考える機会を提供できました。セミナー終了後に行ったアンケート用紙にも、「大切なお話をありがとうございました」などの言葉をいただきました。
最後になりましたが、今回のセミナーは長野県、佐久市を始め関係者の皆様のご協力があって開催することができました。改めて、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。このセミナーをきっかけにして、重度障害者の就労の場がより多く創出されることを願います。