経済ウィークリーコラム「にっぽん診断」

テレワークの定着に向けて

企業などでテレワークを行う人が、新型コロナウイルス感染症の「5類」移行後、およそ半分に減ったという調査結果が公益財団法人日本生産性本部より公表されました。2020年5月時点で31.5%だった割合が、感染症法上の位置付けが変わって2か月が経ち、15.5%となりました。コロナ禍の組織で働く人の意識に及ぼす影響を継続調査するなか、今回が13回目となりますが、テレワークを行う人は過去最低を記録しました。特に大企業でのテレワーク実施率が低下しています。

一方、働く人の意識は、自宅での勤務で、「効率が上がった」「やや上がった」と回答した割合が71.6%に増加し、過去最高となっています。また、自宅でのテレワークについて、「満足している」「どちらかと言えば満足している」と答えた人はあわせて86.6%でした。今後もテレワークを行いたいかについては、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」という人をあわせると86.4%と、高い水準となっています。テレワークで働く人からは継続を望む声が多いようですが、企業との思いにギャップがあるようです。

当社は通勤が困難な障がいのある人のテレワーク(在宅勤務)を20年程度行っています。これまで様々な機会を通じてテレワークの良さを紹介してきましたが、身近な働き方の一つとしてなかなか浸透しないと感じてきました。コロナ禍でのテレワークがきっかけとなり、テレワークが特別なことではなく当たり前となれば、働く可能性を広げる人が増え、ワークライフバランスも進むと考えていました。しかしながら、最近、感染症対策の一時的な対応に終わるのではないかと懸念しています。

テレワークでは時間や場所を有効活用して柔軟に働くことができます。通勤による体力消耗やストレスが軽減され、仕事に集中できるなど、多様な働く人のニーズに対応します。企業にとってもオフィススペースや通勤費の削減、ペーパーレス化など、テレワークを続けるメリットがあります。テレワークに向かない業種や職種はあるとは思いますが、コロナ禍で実施が進んだテレワークを後退させず、企業がイニシアティブをとり、働き方の一つして定着させていきましょう。



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