経済ウィークリーコラム「にっぽん診断」

初心忘るべからず

「初心忘るべからず」。物事を始めたころの謙虚で真剣な気持ちを忘れてはならないと言いますが、易しいように思えて、なかなか難しいものです。では、どうしたら初心を思い出すことができるでしょうか。ひとつの方法は、原点となるモノ・コト・場所に戻ることです。

私たちは毎年、特別支援学校向け合同遠隔社会見学を行っています。第1回は香川県小豆島で開催しました。木桶仕込みのしょうゆづくりに感動した特別支援学校の先生から外出の難しい生徒に学ばせたいので現地中継ができないかとの相談を受けたことがきっかけでした。在宅勤務を行っていた当社ですが、カメラで撮影した映像をリアル配信した経験はありませんでした。先生の熱意に何とか応えたいとの一心で挑戦したと聞いています。生徒が大変喜んでくれたことで苦労が吹き飛び、今も続けています。

あれから10年。生徒1人から始まった活動は参加者も増え、学校交流の場としても期待されるようになりました。中継場所やホスト校の選定、事前学習、クイズ形式により全参加校が発言できるような教材作りなど、準備には時間がかかります。より充実させたいと思えば大変さが増すこともあり、この節目にあたり小豆島に戻ることにしました。

今回のホスト校は香川県立小豆島みんなの支援学校です。地域初の知的障がいのある子どもたちが学ぶ特別支援学校として2023年4月に開校しました。小・中学部には16人の児童・生徒が在席し、島外への通学等が困難な高等部の生徒1人が、校内に設置されている香川県立香川中部支援学校高等部分教室で学んでいます。

当日は中・高等部の4人の生徒が先生とともに進行役を務めてくれました。全国26校27教室の特別支援学校を結び、354人の児童・生徒に向けて、小豆島が誇るオリーブを学ぶ授業を行いました。参加者からは数多くの質問が出され、小豆島やオリーブに対する関心の高さが伺われました。オンライン上で参加した児童・生徒の楽しそうな表情、大役を果たした小豆島みんなの支援学校の生徒の明るい笑顔をみて、初心を思い出しました。これからも頑張ろうという気持ちになりました。



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