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木村のつぶやき つぶやきNo.9(2008年8月) 眠れない夏

残暑見舞いの季節になり、熱帯夜が少なくなって欲しいと願う今日この頃です。 熱帯夜はエコな温度設定をしたクーラーでしのいでいますが、 眠れない理由は7月に委員になった授産施設の工賃倍増の研究をする委員会の内容です。 昔、漫才で、地下鉄にどのように電車を入れているのかを考えると夜も眠れないというのがありましたが、 正に、その心境です。 当社は特例子会社ですが、特例子会社は今、どんどん授産施設の働き手を採用しています。 特例子会社も2004年に当社が設立した頃には、100社ちょっとでしたが、現在は250社になるような勢いで増えています。 これからも国の施策により、授産施設の職業能力のある障害者は一般就労に移行し、職業能力のない障害者が増えていきます。当然、施設は職業能力アップのための訓練をするわけですが、並大抵のことではありません。職業能力のある働き手が減る中、本当に工賃倍増ができるのだろうかという疑問が湧いてきます。

授産施設でつくって売るものはどのようなものかというと、大規模にクリーニング業を行っているところもあれば、 企業の仕事を引き受け、部品加工や細かい手作業を得意としているところもあります。 印刷や縫製、伝統工芸品、織物、陶磁器の制作、木工品や家具の製造、 また、有機野菜の栽培やジャム・漬物・クッキー・パン等の食品加工等々…、仕事はバラエティに富んでいます。 しかし、工賃は月平均1万円といわれています。工賃というのは施設の利用者(利用料は1割が本人行政が9割負担) が職業訓練のために生産した付加価値分を分配しているという意味で給料とは違います。 職員の給料は利用者の利用料から出ます。工賃1万円というのは障害者の利用者が1ヶ月働いて出た付加価値分です。 月160時間の利用時間があるとすれば1時間当たり62.5円の付加価値しか生み出さないことになります。 工賃倍増というのは1時間当たり150円の付加価値を出せる体制をつくることです。 物をつくったりサービスしたりする直接経費は別ですが、施設の職員の給料や建物の費用等は付加価値から差し引きません。 な~んだ、一人当たりお客さんに1時間たったの150円もらえば良い仕事をすれば目標達成するので簡単簡単と思いきや、 さにあらずであります。

多分稼働率の問題が大きく影響しているのだと思います。 稼働率はどのくらいでしょう?稼働率といっても二つあります。 障害があるということで、稼働率が低くなることと、仕事が入らないということで低くなることです。 障害のための稼働率低下はしょうがありません。 最大可能な稼働時間が一日4時間とすれば、時間300円の付加価値が出る仕事をすればよいわけです。 企業ですと管理費や営業利益を出すために1時間当たり3,000円程度の付加価値が必要となります。 健常者の10分の1の働きで良いのだと思うと気が楽ですが、 稼働時間が2時間になると時間600円の付加価値の働きをしなければならず、 健常者の5分の1以上の働きをしなければなりません。 工賃倍増のキーは最大の稼働率まで仕事を増やすということなのです。

なぜ仕事が来ないのでしょうか。明白です。 営業のプロ、商品開発のプロ、生産のプロ、品質のプロ、サービス提供のプロ、個人情報管理のプロ、 機密情報管理のプロ……の職員がいないからです。 職員が一生懸命努力し、事業の業績をアップしたところで、職員への成果配分の仕組みがありませんから、 そのようなプロになる金銭的なインセンティブはありません。 職員の思いだけに頼る対策が主流になりますので、生産活動に熱心な職員の方がいたとしても、 職場移動や退職などで、元の木阿弥になってしまいます。 発注者はQCD(品質、コスト、納期)の管理体制があるかを重視しますが、そんな組織を持っている授産施設はまれです。 また、受注競争相手も沢山います。 高齢者、主婦、ニート、フリーター、外国人、特例子会社等々多彩な競争相手がおり、 また、行政が支援しているところも多いので、自分たちだけがアドバンテージがあるわけではありません。 この工賃倍増研究会は議員立法でハート購入法というのができることを期待し、 官公関係からの優先発注のための対応のためにQCDの管理体制をいかに構築するかの研究がキーになると思います。

QCDの実現は管理体制だけでは不可能です。企業であれば選別された労働者がQCDの教育をされ、生産に携わります。 また、必要な工数を確保するために、出勤率や稼働率の管理もしています。 それに比べると、授産施設の労働力は良質といえるでしょうか。 障害者自立支援法により、施設を利用しない日は10分の1の利用料の負担がかからないので、 利用者が休む日が多くなっていると聞いています。労働力の確保にも不安定さがあるのです。 企業の購買部門では間違いなく、認定業者の選定基準に合格しません。 官公関係でも、優先的に多数障害者就労事業所に発注しなさいというハート購入法により、 授産施設に発注したとしても、購入担当者はQCDで苦労し次回からの発注はなくなるでしょう。 いくら随意契約で発注できるといっても、出すお金は血税です。 当社を含めた特例子会社とも競合するわけですが、勝敗は明白です。

工賃倍増の研究は今までも行っていたようですが、どうも障害者側や施設側の立場での発想が中心で、 買う側の必要とするQCDをいかに確保する体制を施設側に構築するかの研究はなされていないのです。 お涙頂戴での販売や作れば売れる、または行政が助けてくれるという発想では、 工賃倍増どころか減額になってしまいます。

今回は工賃倍増の難しさを愚痴っぽく言いました。 次の「つぶやき」では眠れない夜に編み出した確実に工賃倍増ができる提案をしたいと思います。

今年は朝顔を家の東側のフェンス沿いに2種類植えました。 最近は朝に満開になり、毎日戸を開けるのが楽しみです。 当たり前なのですが、朝には美しく咲いていた花が、夕には見事に全部しぼんでしまいます。 小学生のような気分で朝顔の観察をしています。

眠れぬ夜 朝日に輝く 朝顔や

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