木村のつぶやき つぶやきNo.5(2007年6月) テレワーク人口倍増アクションプランについて
6月29日の政府のIT戦略会議にてテレワーク人口倍増アクションプランが発表されました。このプランの目標は「2010年までに2005年度比でテレワーカー人口比率倍増を図り、テレワーカーの就業者人口に占める割合2割達成」です。安倍総理の施政方針演説の中の「チャンスにあふれ、何度でもチャレンジが可能な社会の構築」で述べているテレワーク人口倍増のアクションプランです。障害者の在宅でのテレワークの支援を実践し、普及活動もしている私にとって嬉しいことです。
テレワークへの期待はそれぞれの立場によって違いがあるように感じます。政府は「育児や介護者の労働力化」「ワーク・ライフ・バランス」「地域活性化」「CO2削減」を強調しています。一方、企業は社内のIT化推進と合わせた経営の効率化のひとつとしてのアプローチをしています。その昔、子育て女性の在宅勤務や通勤時間の短縮のためにサテライトオフィスでの就労等従業員の福利厚生的施策でテレワークを導入した会社がありましたが、経営的なデメリットが大きく失敗に終わりました。この反省からか、企業は経営の効率化のためのIT化推進のサブシステムとしての位置づけで動いているようです。今や、企業のテレワークは福利厚生的から経営効率化のアプローチに変貌しています。人に効率よく働いてもらうツールとしてのテレワークです。移動の時間や労力を仕事に振り向けられるようにし、人材を効率よく活用することを目指しています。また、テレワークで事業運営ができる環境にあると、災害時の事業の復旧が早くなるというのが企業にとっての魅力でもあります。
では、働く側としてはどのように思っているのでしょうか。政府のばら色のプランの衣の下に労働強化という鎧が隠れているのではと恐れています。ホワイトカラーエグゼンプションの記憶が生々しくあるようです。テレワークで働くと、真面目に出勤しているということは何の意味もなさなくなり、どれだけの成果が上がったかのみで評価されます。労働組合はテレワーク導入により労働強化になるのではと恐れています。通勤の電車の中や、帰宅後のパソコンによる仕事をサービス残業としてせざるを得ない環境になってしまうことを恐れています。
それぞれの立場で推進派、躊躇派と分かれますが、現実には組織の制度上、もしくは個人的にテレワークをしている人口が就労人口の十数パーセントを占めています。すでに十人に一人はテレワーカーなのです。そのほとんどが、テレワークを活用し効率的時間を使い仕事量を増やし、達成感や処遇の向上をはかろうというアクティブテレワーカーです。この層はほっといても、このアクションプランに関係なく増えることは間違いありません。 このようなことを考えていくと、普通に勤めている人たちへのデジタルデバイド対策をしないと、格差をなくすためのテレワーク普及がより格差を広げる皮肉な結果にもなりかねません。
時間の使い方を効率化し、より生産的時間を増やそうとしているアクティブテレワーカーの対極に、通勤ができないためテレワークをしているパッシブテレワーカーがいます。障害、子育て、介護等々の理由で家での仕事を選択せざるを得ない層です。特に私のかかわっている在宅勤務による障害者雇用では、働いた経験のない方を雇用するケースが多くあります。健常者の在宅でのテレワークは働いた経験者が多く、また、初めての方でも、しばらくは通勤をして仕事を覚えられます。介助者がいないと外出ができない障害者にとって、研修や会社の会議に参加することはとても困難なことです。去年から厚生労働省は重度障害者が家でITの勉強ができるようにと委託訓練「e-ラーニングコース」の制度を設け実施しています。当社も受託業者となり当社の障害のある在宅勤務者がネットワークを活用して教育をしています。
しかし、学習を主体としたこのコースのみの教育では、会社勤務経験のない、社会経験も不足した重度障害者本人が在宅勤務で働くことが可能かどうかの検証はできません。厚生労働省の障害者委託訓練の中に実際に3ヶ月間職場実習をし、その仕事になじめるかどうか体験できる実践能力習得訓練コースというのがあります。在宅勤務は仕事内容が限られ、その仕事に向かなければ別な仕事というわけには行きません。在宅勤務希望者にこそ職場実習で確認したいことが多いのに、どういうわけか、この制度を使うことができません。障害者のテレワークは企業、国、地方自治体、NPO等のさまざまな支援により成り立っています。もっと、もっとこのアクションプランを官邸の中ばかりでなく外部へ協力にアピールし、さまざまな立場の人たちへの認識を高めていただきたいものです。
(※)首相官邸ホームページにリンクします。
6月になり、3年目のクールビズをしています。来客があると、ついつい背広を着なければ、という思いにまだなってしまいます。テレビニュースで見る閣議や国会でのクールビスが民間の省エネ活動を刺激していることは非常に良いことです。
来客に 背広を探す クールビズ